ともをの日記

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【読書感想文】名称未設定ファイル「猫を持ち上げるな」編

どうも皆様。昨日書いたように只今絶賛テスト期間中でございます。ともをです。帰り道で生傷こしらえたことくらいしか書くことがないため、今日は読書感想文を書いていこ言うと思います。ただ時間がないので今回は短編小説「名称未設定ファイル」より最初のお話。”猫を持ち上げるな”について数十分くらいで書いていこうと思います。

⚠注意⚠読書感想文なので、

沢山のネタバレを含みます!!(文中の引用も含みます)

ネタバレしたくない人はここで閉じてください!!!!

 

 

 

ネタバレOKね?ありがとう。

さて、この”猫を持ち上げるな”というお話。まずキッカケはTwitterに投稿された一件の「脇から持ち上げられた伸びている猫の写真の投稿」だった。”可愛い”との声で話題になる中”虐待だ”との意見も増え見る見るうちに炎上へ。そんな状況を画面越しに見ていた猫飼いの男性。気にしないようにしていたがネットを見れば猫、猫、猫。意識には嫌でも残る。そんな状況で男性の飼い猫”バステ”が男性の不注意でどこかへ行ってしまい、ネットと現実での状況がイヤにリンクしていって…と大体こんな内容だと私は読み取った。

今回私が感想として注目したい点は何と言っても「インターネットの荒れ方のリアルさ」である。

この小説に関して感想を書くにあたってここに触れないわけにはいけないだろう。

初めはただ愛猫家の中で”可愛い”とバズっただけだった猫の画像。だったが、ある漫画家の”引用RT”によって状況は一変した。「この画像を見て正直ゾッとした」などあくまで個人の意見だという入り方から始まったこの文だったが、終わりには「いきなり持ち上げられて嬉しい動物などいるでしょうか?」と皆に問いかけるような文体で終わっている。こういう意見の言い方(書き方)は現実で起こる炎上のキッカケとなる文の特徴をよく表していると思った。”あくまで個人の意見です”という体で始まり、最終的に”皆もこう思うだろう?”という同意を求める意見の言い方になっている。

大体、それの意見が正しいかどうかに関わらず、賛同する人らは「自分も同じ意見を持っているのでそれを個人的に言っている」と思っているが、実は気づいていないだけで「この人の意見に賛同だ」という気持ちの方が先走っているのではないだろうかと思う。

強い口調で意見を言うこういう問い方は「そっちの味方に付いた方がいい」という錯覚を見せることがあると思う。ここで「味方」という意識が生まれた以上、炎上の火種(投稿側)はいつのまにか「敵」になる。一度賛同意見が広まれば「敵と味方」という構図は必ずできてしまう。今回の猫の件のように「初めは称賛されていたもの」の炎上の大体はこういったキッカケで生まていると感じてる。

この小説の中で、この猫の件はだいぶ大きなところまで発展している。その中で”あまり世間に良い印象のない評論家のインタビューのまとめ記事”なんてものも書かれており、私はこれも面白いなと感じた。

「インタビュー記事で話されていた内容とその記事の題名が全く違っていた」というよりまとめ記事を書いた編集側の主観が題名に入りすぎていたと言った方が正しいだろうか。いつもは好まれないこの評論家はこの件に関して「猫を持ち上げるなんて日常茶飯事。もっと本質的なことについて考え、話し合う。そういう姿勢がないと、いよいよ本当に日本は終わりだ」という旨を書いていたのだが、まとめ記事のタイトルは

「猫いじめは日常茶飯事。こんなことで怒っている日本人は全員馬鹿!」という強く印象を変えてしまうものになっていた。きっとこのまとめ記事だけ見て、本当のインタビュー記事は見ていない人が大半だろうがこの題名では批判されてしまうのも頷ける。

事実とは異なった強いインパクトのある言葉を選んだまとめ記事の題名というのは現実にもきっと良くあることだが、こうして第三者目線に立たないとこういう気付きもなかっただろうなと思った。

他にも「話題に便乗して同じことをし、炎上しきえていくタレント」や「最初に猫の画像を投稿した人の裏垢が見つかる」といった出来事。「大規模なデモ行為」に「最初に意見を書きこんんだ漫画家への悪質な嫌がらせ」等ネット上から派生して徐々に現実へ問題が広がっていく現実味がありすぎる展開のこの話はとても考えさせられるものだった。

なにより、この小説の主人公はこの状況下にいる一人のごく普通の男性と猫だ。どこにでもある普通の生活がインターネットをきっかけに徐々に崩れていく様子は読んでいてどこかのめり込んでいくような面白さがあった。

なにより、私はこの話がハッピーエンドで終わったことに対し、とても安堵しこの話が好きだと改めて強く感じた。時間もないのでこのあたりで終わろうと思うが、結局書くのに一時間ほどかかってしまった。この感想を読んで少しでも気になった方は是非一度買って読んでほしい。そんじゃ、また。